ハイパーモノツクル

おいしくてかわいいもの このてはもうはなしたりしない

蜘蛛女のキス

原作も読んだのでやっと感想を。

記憶だよりなので思い込みとなど

また話の前後が違ったりするかもしれないけど

気にしないでくださいませませ。

 だいたいのあらすじはこんな風。

 

刑務所の2人部屋。

暗闇から映画の説明をする声。

映画が大好きなモリーナが同室のヴァレンティンに「黒豹女」の映画を説明している。

娯楽のない刑務所で、映画を二人で見る(想像する)のがふたりの楽しみ。

紅茶(原作ではマテ茶)を飲みながら、夜各々のベッドに入ってから。

(原作では何本も何本も映画を話してくれるけど舞台では1本だけです)

(「黒豹女」の映画とは『キャットピープル』という映画のこと)

ヴァレンティンは政治犯。反政府活動を行い服役。

モリーナは未成年に対する背徳行為で服役。

母親と二人暮らしでお母さんの病気が心配なので早く出たいモリーナ。

 

   目はグリーンとがった顎の魅力的なイリーナ。

   動物園の黒豹の絵を描いていると建築家に一目ぼれされる。

   後日展覧会で再会したふたり。ひかれあい食事に行く。

   イリーナには秘密がある。イリーナの生まれたトランシルバニアでは、

   黒豹女がたくさん産まれるという伝説があり、イリーナも自分が黒豹女

   なのでは、とおびえている。

   そんな話は信じず、精神科に連れていく建築家。

 

建築家のアンティークな家に嫌悪するヴァレンティン。

モリーナはアンティークなインテリアが好きなのでイライラする。

自分の母親の育ちを思い出すのかな・・・?

いちいちチャチャを入れてモリーナの話を止める。

ヴァレンティンに恋人の話を聞き出そうとするモリーナ。

聞かないほうがいい。尋問されてしまうかもしれないと教えてくれないヴァレンティン。

ある日、出された食事を食べてモリーナがおなかを壊す。

力を抜くといいよ、と優しく声をかけるヴァレンティン。

次の日、ヴァレンティンがおなかを壊す。下痢をするヴァレンティン。

優しく介抱するモリーナ。

食事には下剤が入っていた。ヴァレンティンを弱らせるため。

心配で自分の差し入れの食事を与えるモリーナ。

看守が母親の代わりにくれた食事。

カモミールティー。

映画の続きを話し出す。

 

   やがてふたりは結婚する。

   だが肉体関係にはなれない。イリーナがこわがるから。

   同僚の女性に相談する建築家。それを見るイリーナ。

   嫉妬に狂い、同僚の女性のあとをつける。

   獣の足跡に恐怖を感じる同僚・・・・・

 

 

どうして君は男のようにふるまわないのか。

女になろうとするの?

だってわたしは女だから。優しくて傷つきやすくてなにが悪いの?

世界がみんな女なら拷問もなくなるのに!

でも男がいなかったらこまるだろ?とヴァレンティン。 

 コンデンスミルクを入れたコーヒーを飲みながら話すふたり。

 

   う逃げられないと思ったところにちょうどバスが来て逃げ切る同僚。

   泥だらけの足で帰ってきた妻に不信がる建築家。

   精神科医を家に呼ぶことにする。手違いで早く来てしまう精神科医

   イリーナと2人きり。イリーナは彼にとびかかかり引き裂いてしまう。

   動物園に向かうイリーナ。黒豹の檻が空いている。

   黒豹に襲われて息絶えるイリーナ・・・

 

誰を自分に投影させてる?と聞かれてもちろん黒豹女よ!自分は映画女優だから!

ヴァレンティンは君は蜘蛛女だよ。獲物を罠にかける蜘蛛女だ。

 

弱っていくヴァレンティン。モリーナに恋人のことを話しだす。恋人への手紙の口述筆記を頼むヴァレンティン。

体力がなくなっていくため、シャワーも浴びられない。悲しい気分のヴァレンティン。

お湯で体を拭いてあげるモリーナ。もう背中がかゆくないよ。

ゆっくり眠れる。書いた手紙をやぶくヴァレンティン。

 

仲間から手紙が来てイラつくヴァレンティン。

モリーナの大事にしていたフルーツケーキを投げてしまう。

看守に呼ばれるモリーナ。恋人のことは聞き出せていないというモリーナ。

もうすぐ控訴審があり、仮釈放かもしれないと言われるモリーナ。

外に出られる。ママに会いたい。でも・・・

孤独と自己嫌悪に泣くモリーナ。なんど泣いてるのを見ればいいんだよ。

なぐさめるヴァレンティン(優しい)

ハムサンドを作ってくれる。

自分のことを気持ち悪いとかそういう風に言ってはいけない

そして初めて一夜を共にするふたり。

翌朝昨日の体験を話し合う。自分が自分じゃないようだったふたり。

 

 

また看守に呼ばれるモリーナ。

仮釈放となる。今日には外に出られる。

よかったじゃないか!と喜ぶヴァレンティン。

外に出たらみんなから尊敬させるようにふるまわなくてはいけないよ。

モリーナに仲間への伝言を託す。命がけの伝言。

最初は断るが最後は引き受けてくれるモリーナ。

喜んでモリーナを抱きしめてキスをするヴァレンティン。

 

ホワイトアウト

その後のふたりについて。

泣きながらモリーナのその後を話すヴァレンティン。

モリーナはママのもとへ帰って、二人でお買い物したり映画を見たり。

友達にも彼氏にも会って。

ショーウィンドーディスプレイの仕事も再開。

しばらくたって伝言を実行する。

口封じのためにヴァレンティンの仲間に射殺された。

こんどはモリーナがヴァレンティンのその後を話す。

拷問による敗血症が悪化するヴァレンティン。

看護師がかわいそうに思いモルヒネを投与する。

夢を見ながら亡くなるヴァレンティン。

恋人と再会する。恋人にモリーナのことを、話す。

モリーナにかわいそうなことをしたというヴァレンティン。

恋人はこう言う「彼女は映画女優のように死んだのよ!」

誇らしげなモリーナ。

最後は船に乗って仲間と海原へ漕ぎ出す。

最後はハッピーな夢を見たヴァレンティン。

 

 

話の順番は前後してるかもしれないけどこんな感じ。

とにかくまずモリーナの話が上手で映画がすごく見たくなる。

ヴァレンティンと一緒に「それから?」「どうなる?」

と聴きたくなる。

モリーナは映画が大好きで、でもやっぱり卑屈で、ママのためにしか生きていない自分ってなあに?と思っている。

たぶんヴァレンティンのことはとても好きだけど恋ではなく、

守ってあげなきゃいけない生き物として愛していて、

そして自分を主演女優のようにしてくれた存在。

ヴァレンティンは母親とうまくいっていないので、モリーナに母性を求めている。

人生の最後に出会うべくして出会ったふたり。

やさしさとやさしさをそそぎあって、最後の時間を過ごしたんだなあ。

最後ずっと微笑みあっているし、

人殺しと未成年ワイセツおじさんというどうしようもない二人だけど、

最後は人間らしく、過ごせたんだなあ。

心が暖かくなります。

 

とにかく長いセリフのかけ合いで、想像力が追い付かなくなるけど、

モリーナの映画の話がとても魅力的。

2人の囚人もとてもかわいらしい。ふたりとも無垢でピュア。

看守も優しい。たくさん差し入れくれる。

食べ物がおいしそうで、つつましやかで少量のおいしい食べ物で人は救われるんだなあと感じる。

あとは毛布や、暖かいおしぼり(からだを拭いてもらう)や、人のぬくもりも。

 

 

たっちょんのお芝居とてもいいと思う。

ものすごく自然。

私はすごく好き。今までのお芝居で一番好きかもしれない。

すごくよく笑っているけど笑顔が悲しい。

声もよく届く。張りすぎている感じがなく、心地よく響く。

長い手足(白い)が無垢さにつながっている。

どんどん舞台やるといいと思う。

楽しそう。

いきいきとしている。

30越えてまた輝ける場所を見つけてくれて本当にありがとう。

やりたい、やろうっていう気持ちになってくれたのは

近くにいる誰かさんのおかげな気がするんだけど、

本当にありがとう。